人は空間によって変わる

難しい条件を可能にした地下室

法規的に3階建ては建てられない。かつ、建ぺい率も厳しい地域。
ご家族は2世帯で、お互いのプライベートは確保したいとのこと。
そして1階部分には事務所スペースが必要。
でも、2階までしか建てられないし、建ぺい率は40%……
お施主様の希望は叶えたい。だから、悩む。

限られた土地で十分な広さを確保するための方法とは?
名前
上に広げられないのなら、下へ広げましょう!
地下室を造り、そこを子世帯のスペースにしてはどうでしょうか?
平成建設の地下室ならば、明るく、風通しも良いので問題ないと思いますよ。

すぐに「地下室」という選択肢が出てくるのは、さすがは平成建設の設計士というところでしょうか。 かつて地下室といえば、じめじめしている、風通りが悪い、暗い、そんなイメージがありましたが、 平成建設の地下室を見て頂ければ、印象が一変されると思います。

平成建設の地下室
平成建設の地下室はシェルター&ラウンジにてご覧頂けます

さて、問題のバスルームですが、当初は1.25坪のユニットバスでプランニングをしていました。 ところが、お施主様はとにかく広いバスルームをご希望。
家族構成と建ぺい率との狭間で、お施主様の希望は膨らむ……
ご家族の幸せと建ぺい率との狭間で、設計士のペンは進む……

名前
1.25坪のお風呂だって十分に広いですよ?
名前
いや、どうしても1.5坪のお風呂(ユニットバスの中では最大)がいいなあ。
名前
そうですか……

お施主様のこだわり。私たちは、それを最大限に活かしたいと思っています。 「家」という大きな買い物ですから、お施主様のこだわりは大事にしたい。
しかし単純にユニットバスを広げてしまうと、ゆとりがなくなってしまう。詰め込むべきか、それとも他の方策を探すべきか?
お施主様の要望、建築コスト、住みやすさなどを考慮して解決策を提案します。

ユニットバス
施主様こだわりのユニットバス
名前
建物の北側をあと45cm広げましょう! 建物全体が大きくなりますが、無理に詰めこむよりも今回は良いでしょう。

今回は無理やり詰め込むよりも、建物を拡張する提案をしました。こういった解決法の提案はケースバイケース。毎回同じ結果にはなりません。

1階が事務所で庭が確保できないため、2階にあるバスルームから直接出入りできる中庭を設置しました。 バスルームと寝室を繋ぐこの中庭が生活に潤いを与え、同時に開放感のある空間を演出します。

脱衣室
ここから中庭に出る事ができます
名前
ほお。これはいいね!それで、玄関はどんな感じ?
名前
玄関はホールを含めて約6帖のスペース、+2帖のシューズクロークを確保しています。
階段は吹き抜けにしました。家族が必ず使う共通の部分ですから、吹き抜けを2階まで通すことで、親世帯と子世帯のつながりが生まれ、プライバシーを保ちつつも互いの雰囲気を程よく感じながら生活ができます。

2階の吹き抜け部分は収納にすることも可能でしたが、あえて吹き抜けにしました。 大切なのは、家族がバラバラにならずに暮らせること。 家の構造が家族に及ぼす影響は大きいのです。

内装
書斎スペース(左) 開放感のあるリビング(中) 明るいキッチン(右)


名前
大切なのは「人は空間によって変わる」ということ。
空間には人の気持ちを変え、その人や家族を変えていく力があるということ。
だからこそ、その構成を間違うわけにはいかないのです。
同じ間取り(平面図)でも空間設計の仕方によって、違う家が出来るんですよ。

なお、2階のお手洗いには、お施主様が住空館で気に入られたものを採用しました。 住空館では実際に設備を体感することが可能なので、ご来館された方の中には、新居に同じものを採用される方も多くいらっしゃいます。


近影
デザイナーの視点
地上2階建てでも、プランニングができないわけではありません。 ですが、ご家族が幸せな生活を送ること、快適に暮らせることを考慮していくと、私は地下スペースを有効に活用することがベストだと考えました。
単に部屋を広くとり、敷地に詰めて合理性だけを求めていくのでは、実際の生活に豊かさ・ゆとりは生まれにくいと考えています。 適度なスペース・動線・遊び心をプラスすることで生活を豊かにすることができるのです。 建築士として重要なことは、間取り(平面)ではなく、立体(3次元)でその空間の構成を十分に検討し、デザインしていくことだと考えています。
  • 設計士
  • 1964年 群馬県高崎市生まれ
  • 1988年 武蔵野美術大学 造形学部 建築学科卒業
  • オフィスビル・学校・クラブハウス・住宅・診療所・店舗・お寺・旅館など、活動経験は広い。
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