平成住宅日誌―平成建設住宅部スタッフブログ―

  • 第二章 地盤調査その2

    Posted on : 2009.10.07

     今日は!設計の半田です。少し更新が空きましたが、今回は地盤の事前調査についてです。地盤調査結果の見方については、次回、お話します。地盤の判定についてどうしても地盤調査の結果(数値)のみで判断されがちですが、 実際はその土地の地形・地質の情報の方が有効になる場合が多くあります。それでは、実際の地盤調査の進め方を説明します。

    ①事前調査・・・資料調査にもとづく現地調査の立案
    ②現地調査・・・現地計測、現地踏査
    ③地盤解析・・・現地調査に基づく基礎形状、地盤補強広報の選定
     

    ①の事前調査は予備調査とも呼びます。簡単に説明すると下記の様になります。

     

     

     土地の成り立ちを知り、数値には出てこない、或いは数値で判断が出来ない部分の判断をする場合には、既存の資料を基に判断をする事になります。それでは既存の資料とはいったいどんなものが有るのでしょうか?

     

    既存資料
    ①地形図
    ②旧版地形図
    ③土地条件図・地形分類図・地盤図
    ④地質図
    ⑤空中写真
     
     上記の資料の一部を参考に載せておきます。
     

     河川両端の沖積低地が開発され、住宅化や商工業化が進んでいることがわかる。

     

     これは一例ですが、旧地形図と新地形図を比べますと従前に河川だった事 や、田畑であった事、山の斜面を埋め立てた事など目には見えない事が解ってきます。また、行政で扱っている1/2500の白図では、方位、等高線による高さ(海抜)を知る事が出来地盤判断の為に非常に役に立ちます。

     

     上記の資料の他に静岡県の場合地震防災センターのホームページで第3種地盤、液状化危険地域のおおよその位置を確認出来ます。このような事前調査の元でいよいよ現地調査に臨む事になります。現在の地盤調査会社はその殆どの会社が地盤改良をする会社です。不必要な地盤改良をする事が無い様に設計者一人一人が地盤に対する知識をもち、適切な判断をする事が必要となります。事前調査の結果、次回紹介するSWSの結果を基に設計者としての判断を下す事になります。住宅だけではなく、全ての構築物に共通ですが地盤判断は一番大切な事だと思っています。皆さんも聞き流す事無く、また、SWSの報告書に目を通し設計者の地盤に対する考え方を聞いてください。

     

     それでは、次回は実例を使ってSWS調査をご紹介します。

  • 第二章 地盤調査その2

    Posted on : 2009.09.23

     今日は、住宅部の半田です。本日は9/20です。皆さんは、シルバーウィークの真っ最中でしょうか?私は、本日も明日も仕事です。9/21は、朝、昼、晩と3件の打合せが入っています。なかなか、忙しい毎日を送っています。これもお客様のおかげです。頑張りますので、宜しくお願い致します。

      今週末か来週初めに地盤調査に入る予定があります。その時は、生写真を掲載したいと思います。

     それでは今回は、日ごろ調査をお願いしている会社に提供して頂いた、各調査の写真を掲載させて貰います。

     これが今では余り見かけない手動式のスウェーデン式サウンディングです。100の錘をのせ、二人で回転します。回転しながら、半回転の数を数えますが、写真の様に手だけで回る時は良いのですが、粘着力の強い粘性土では自分自身がハンドルを押す様な動作をしてまわします。200回も回りますと目が回ってしまいます。現在でも、電動の機械が入らない様な場所の場合は、手動で調査します。

     

     半自動式です。カウンターがついており、モーターで回転した回数をカウントしてくれます。錘の上げ下げは有りましたが、手動で調査していた私たちにとって憧れでした。東京の某調査会社がこれとは違う形でしたが独自開発したものを使用しており、購入しようとしましたが見事に断られた記憶があります。その後、ハウスメーカーS向けの機械を作り始めた会社が一般にも販売し、3件程の設計事務所さんに購入してもらった記憶が有ります。本当に楽になりましたが、自沈の際に止めることが出来ず微妙な判断が出来ないという欠点が有りました。

     全自動式です。写真はちょっと古いタイプです。次回、お見せでそうな機械が、最近のタイプになります。基本的に、機械だけでなくマイコンとセンサーによる回転、自沈の管理が出来ます。最新バージョンでは、調査地点のGPS情報と調査内容を携帯でサーバーに送り、情報を一元管理している所もあるのだそうです。無線インフラとコンピューターの進歩は本当に、目を見張る物がありますね!

      標準貫入試験です。小規模住宅では大げさすぎますが、地面の状態を的確に判断する為には、これが一番かな?でも、ちょっと調査金額が高いかな?鋼管杭の利用とか、岩の多い地層の場合は、サウンディングでは歯が立たず支持層の確認をする為にこの調査を併用します。サウンディングでは、なかなか杭を打ち込む為の支持層確認は出来ないと私は考えています。但し、近隣のデータ(隣地とか)が存在する場合には、この限りでは有りません。

     

     番外編   

     先日築15年になる自分が設計した家を尋ねて来ました。ちょっと相談したい事が有ると言う事でした。家に上がらせて頂きビックリ!何と綺麗な床でしょう!とても15年には見えませんでした。奥へ進むとまたまたビックリ!本当に綺麗にされています。やはり、家は手入れが一番というのを実感しました。因みに、我が家は築20年ですが、結構床などに気を配ってきたせいか自分で言うのも変ですが、20年には見えません!壁関係は、杉の板を(節だらけですが)貼った部屋は、20年経っても古さは感じられず逆に味が出てきた様な気さえします。

     

     それでは、次回は先に進める様に頑張ります。

      

  • 第二章 地盤調査

    Posted on : 2009.09.14

     今日は!住宅部半田です。今回から、地盤調査について少々お話します。今でこそ、当たり前の様に実施されている調査は、スェーデン式サウンディング調査ですが、23年前はごく一部のハウスメーカーしか実施していませんでした。元私がいたSでは、多分静岡県では珍しいこの調査を設計担当者と協力設計事務所で実施していました。勿論、現在のような全自動式では無く、手動式のものでした。当時、まだ、正式に建築学会で認められていた訳でも有りませんでしたが、それまで何もせずに”今までの家が建っていたから大丈夫でしょう!”といった感覚で仕事をしていた私にとっては、かなりインパクトが有りました。

     地盤調査には、他にも方法が有りますが代表的な物を図で表します。

     

     

     

      通称コンペネです。自分の体重で器具を押し、ダイヤルゲージの数値を読み取って調査します。地盤の比較的良い関東で使っていましたが、地盤の余り良くない場所の多い静岡には適さず次の通称SS試験を当初から実施していました。

     スウェーデン式サウンディングです。以前ひろみさんが書いていました最近小規模住宅の建築で定番の調査です。但し、この絵は手動式です。現在の主流は、全自動です。本当に簡単に正確になりました。兎に角体力を使いません。ロッドと呼ばれる鉄の棒の先にスクリューポイントという物がついています。ロッドに5kg、10kgx2、25kgx3の合計100kgの錘を載せてハンドリを2人でまわし25センチ毎の半回転数を数えその地盤の換算N値を想定します。一応、ロッドは10mまで測定できるようになっておりますが、粘土質の土地の場合は大変です。粘土がロッドに付着して回転するのも大変になります。あまり浅いところで何も手ごたえが無く回転してしまう事が有りますが、これは殆どの場合石とか何か埋設物に当たってしまった時です。この場合は、データにはなりません。手動式を経験した人自体が少なく、私などはひょっとすると希少価値かも知れません。

     現在の全自動は、ある程度の状況をセンサーで確認出来、手動式では有った回転数の数え間違えとか自沈といって錘を載せただけで下がってしまう現象の把握もしっかりと確認できます。かなり、正確になっています。次回、写真などをお見せします。

     

     標準貫入試験です。良く皆さんが言っているボーリング調査ですね!その深さの土質のサンプルが取れ地盤調査としては、中規模以上の建物では最も利用されている調査です。ただ、小規模住宅では大げさすぎますかね!小規模住宅でも、鋼管杭などを使用する場合は、支持層確認の為にこのボーリング調査やラムサウンディングと言った調査をします。

     

     いずれにしても、現在では地盤調査無しで住宅を建設する事は考えられません!いくら、古くからの土地であっても調査はするべきであると考えています。地盤調査を受けてくれる会社が無かった昔とは違い、現在では多くの会社が調査をしています。調査機器も進歩し、地盤の判断についてもより客観的に判断出来る様になっています。出来れば、お客様もご自分の土地の地盤調査に立ち会われる事をお勧めします。

     次回は、各調査の写真や事前調査についてお話します。機器に依る地盤調査と同じくらい大切な事が事前調査になります。数値だけでなく地盤の成り立ちを想定し客観的に判断をする事が、非常に大切である事を少しだけ聞いてください。

     

     因みに、技術的なことばかり書いていますが私は技術担当では有りません。あくまでも、設計担当です。本日も1STプランを提出して参りました。この瞬間が一番緊張します。本日の1ポイントは、”光の煙突”でした。上手くご縁を頂けて、皆さんにご紹介出来ると良いですね!それでは、次回!

  • 第一章 土質5

    Posted on : 2009.08.31

     台風が近づいています皆さん、備えは十分出来ていますか?

    住宅部設計の半田です。今回は、土の種類と基本的な性質構造についてです。 

     土について、再その粒径、粒度(粒の大きさ)について簡単な図で表記すると次の図-3の様になります。

     右側は、粒の大きさを他物に置き換えて比較したものです。いかに、粘土の粒の大きさが小さく、砂、レキの粒の大きさが大きいか解るかと思います。

    また、一般的な特性は、次の通りです。

    1、粒状土(レキ、砂)の一般的特性

     ・粘り気(粘着力)がない。

     ・水を通しやすい(高透水性)

     ・拘束圧に比例して強度や硬さが増加する(拘束圧がないと自立できな   い)

     ・水を含みに(含水比が低い)、強さや硬さが含水比に影響されにくい。

     ・空隙が小さく、変形しにくい(硬い)

    2、粘性土(シルト・粘土)の一般的特性

     ・粘り気(粘着力)が強い。

     ・水を通しにくい(難透水性)

     ・拘束圧に関係なく強度が一定(拘束圧が無くても自立できる)

     ・含水比が高く、強さや硬さが含水比によって大きく変化する。

     ・空隙が大きく、変形しやすい。

     

     この辺になると、粘土の土地には良く水が溜まるなとか、砂まじりの土が多い、学校のグランドは水はけが良いとか身近な場所で実感する事が出来ます。住宅地で盛土する場合に砂質土が使われ、粘性土が使われない理由もこの性質による事が多いわけです。

     それでは、その土の構造はどうなっているかと言うと、下記の図の様になっています。

      左が粒状度(単粒構造)、右側が粘性土(蜂の巣構造)です。土は土粒子と間隙によって構成され、間隙は空気または水により構成されています。

      それでは、土のお話はこの辺までとし、次回からは、地盤調査についてお話して行きたいと思います。

  • 第一章 土質4

    Posted on : 2009.08.27

     住宅部設計の半田です。ここ数日びっくりするくらい過ごしやすい日が続いていますね!

     さて、本日は土と地盤の作られ方についてです。地盤の作られ方には、下記のようなケースが有ります。

    1、堆積地盤

      火山岩や堆積岩が物理的・化学的な風化により砕かれ、比較的粒径の大きな風化土(レキ・砂)となり、これが低地に運ばれてレキ・砂・粘性土からなるさまざまな地を構成する。

    2、火山性地盤

      火山からの噴出物が堆積した地盤                         ・火山灰(粒子は細かい粘性土):関東ローム 

    ・シラス(粒子は粗い粒状体)

    3、植物性地盤

     植物が堆積した地盤

     ・腐植土(分解の進んだ土):田畑の黒土

    ・泥炭(分解の進んでいない土):ビート

    4、動物の死骸が石灰化し、堆積した地盤

    5、廃棄物

    上記を纏めると図-2の様になります。

     3、の腐植土については、エリア想定されているマップも有り注意が必要です。腐植土の場合、仮に表層改良、柱状改良をした場合セメントが固まらず十分な強度が期待出来ないからです。

     それでは、次回は土の種類と基本的な性質の話をし、次々回からは地盤調査の話に入って行きます。