case.17 静岡県駿東郡長泉町 S様邸
玄関を入るとホール越しに上部を障子に切り取られた坪庭がお客様をお迎えします。 この坪庭は、玄関ホールを演出する飾りとしての要素だけではなく、玄関、ホール、そして、平屋の場合どうしても暗くなりがちな中廊下に、光をふんだんに取り込む役目を果たしています。 居間には栃(トチ)の無垢材を用いたテーブルが置かれています。このテーブルを置くことで、初めてこの空間が完成するといっても過言ではありません。
玄関と玄関ホールに光を取り込み、お客様をお迎えする坪庭。
白川砂利を敷き、水蛍燈篭、亀甲石をあしらいました。目隠しには竹穂垣を用い、いろはもみじ・南天・矢車草・カクレミノ・ソヨゴ・ヤツデ・玉龍などを植えています。
純和風の外観にふさわしい、重厚な玄関と玄関ホールです。
緩やかに傾斜する天井は、竿と呼ばれる木材で天井板を固定した、上り竿縁天井。使用素材は杉です。
お客様を送り迎えする式台(しきだい・一段低くなっている板張りの部分)にはヤニ松を、床面には無垢の桧縁甲板(ひのきえんこういた)を使用しています。
壁は聚楽塗(じゅらくぬり)です。
坪庭に面して大きな窓を配置することで、十分な日差しが差し込み、明るい廊下となりました。
リビングに置かれた無垢の栃(トチ)テーブル。
この栃のテーブルは、無垢の厚板が数百枚も並んでいる銘木問屋に施主様自らお出向きになり、粗木の状態で選ばれたこだわりの逸品です。
カタチ、木目、すべてが天然の一点もの。同じものは二つと存在しない、特別なテーブル。
伝統的な手法の和室。
床柱に使ったのは天然の絞り丸太。シワのような溝を持った丸太を絞り丸太と呼びますが、天然ものと人工ものがあり、天然物は貴重です。
また、床の間の畳は「龍鬢表(りゅうびんおもて)」と呼ばれるもので、花入れなどを置くことによって青畳のヤケにムラが生じるのを嫌い、最初から均一で美しいあめ色に仕上げられています。
床框には漆面皮(うるしめんかわ)、落掛には杉、違い棚にはヤニ松を使用しました。
- case.22 むくり屋根の家
- case.67 大開口のある平屋造り