case.48 静岡県沼津市 U様邸
本当に良いものは長い歳月を経ても朽ちる事なく、ますます輝くもの。 日本の古くて本当に良いものたちを発見・再生し、 更にただ古いものを活かす場所を作るのではなく、現在のデザイン、使い勝手を取り入れ、居心地が良く住みやすい住宅を目指しました。 目に留まる場所には趣のある古材を使用していますが、建物の強度はSE構法の構造材によってしっかりと確保し、高い耐震性能を誇ります。 伝統の継承と刷新がテーマのお住まいです。
- 「大正浪漫邸宅」がグッドデザイン賞を受賞しました
- プロジェクト「大正浪漫邸宅」 (リクルートサイト)
懐かしい時代を思い起こさせる、広い土間空間。磨きこまれた木材が、えも言われぬ趣をかもし出しています。
玄関と勝手口を繋ぐこの土間には、夏季の清涼感と掃除のしやすさを考慮し、井戸からの湧水を利用した水路を走らせてあります。
玄関と勝手口を繋ぐ通り土間。木が埋め込まれている部分が水路です。井戸湧水を鉢で受け、あふれ出た水を水路に流す構造になっています。
この通り土間には可動式の渡り廊下が床下に収納されており、必要に応じて隣室と繋げる事ができます。
空間が縦にも横にも広く広がっていますが、土壌蓄熱式全館暖房(サーマスラブ)を採用しているので冬でも温かです。
しっくい壁の白に、かつてお寺で使用されていた黒光りする梁が堂々と映える、2階渡り廊下。
1階の土間から見上げれば、大きな吹き抜け越しに迫力ある梁の表情が楽しめます。
大きな吹き抜けは、天窓からの採光を土間へと届ける役割も果たします。
大人が腕を伸ばしても抱えきれないほど太い柱は、無垢のアパ(アフリカケヤキ)。巨大な梁を支えるために必要な大黒柱は、なかなかサイズが見つからず苦労しました。
モダンなデザインが不思議と空間にマッチする照明は、施主様こだわりのアンティークの品々。
建物随所に見られる古材は、解体された古い建物のものを当社大工が加工・取り付けしています。
建物の構造計算に、これら古材は含まれていません。
二間続きの客室は、アンティークの建具のひとつひとつから歴史を感じます。 お住まいに配置された建具は全て、明治から昭和初期に作られたもの。年月を経ても色あせない、「本当に良いもの」を身体で感じる事のできる贅沢な空間です。
レトロな雰囲気を重視した内観ながら、一方ではオール電化を採用した省エネ住宅でもあります。キッチンなどの設備も最新モデル。 ただ過ぎ去った時代を懐かしむだけなく、新しい時代の技術と融合させることで住みやすさも追求する、真の意味で「古き良きものを蘇らせる」住まいとなりました。
- case.6 通り土間のある家
- case.33 土間と掘炬燵のある家